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【子育てパパ日記】てぃころぐ!

「乳児ボツリヌス症」を 今さら聞けない方も 復習したい方も 人並み以上に理解できるように 説明します

 
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育児しているパパの情報が少ないため、ブログを始める。試行錯誤しながらも、子育てを心から楽しむことができるように、そんな家族が一人でも増えるように、パパ視点での記事を書いています。 詳しい自己(家族)紹介はこちら!

himaguriです。

 

4/7、東京で乳児ボツリヌス症を発症し、生後6ヶ月の男の子が亡くなるという、なんとも痛ましい事故が発生しましたね。

 

ニュース記事はこちら

 

ニュースによると、男の子は離乳食としてはちみつ入りのジュースを与えられていた、ということでした。

 

生後一歳までの赤ちゃんにはちみつを与えてはいけない、ということを「知ってさえいれば」防げた事故です。

 

父子手帳にも、ちゃんとそのことが書かれています。

 

子育てブロガーとして、また職業柄、微生物と接している立場として、記事にしておかねばならないと感じました。

 

乳児ボツリヌス症とはどんな病気なのか?どういうメカニズムで発症するのか?

 

また、はちみつ以外にも注意しなくてはならない食べ物もあるので、ご紹介しますね。

 

乳児ボツリヌス症とは何者か?

乳児ボツリヌス症とは、生後1歳未満の乳児特有の病気で、ボツリヌス毒素という毒に侵されると発症してしまう病気です。

 

「ボツリヌス毒素」とは、ボツリヌス菌という菌が生成する毒素で、地球上の自然に発生する毒の中で最も強い(少量で生物を死に至らしめる)神経毒です。

 

ボツリヌス毒素とはなんぞや

その強さは「500gで全人類を死に至らしめることが可能」という、とんでもなく恐ろしいシロモノです。

 

猛毒といえば、サスペンスで有名な青酸カリありますよね。

 

青酸カリの致死量は0.3g程度(成人一人あたり)。

 

ボツリヌス毒素は0.9μg(マイクログラム)です。

 

マイクログラムとは、1gの10万分の1なので、0.0000009g、つまり青酸カリの30万分の1の量で同じ効果になります。

 

うーん、なんとなく逆にイメージつきにくくなってしまいましたね・・ともかく、非常に恐ろしい猛毒であるということです。

 

ボツリヌス菌とはなんぞや

ボツリヌス菌は、いつもは土の中で暮らしている菌です。

 

つまり、どこにでもいるありふれた菌、ということです。

 

そんな、どこにでもいる菌が、ある一定の条件下で、ボツリヌス毒素という凶悪極まりない毒を出すようになるのです。

 

それは、空気のない場所です。

 

人の体内などがそれにあたりますね。

 

ボツリヌス菌は、嫌気性という種類の菌で、「空気のない場所」において、この毒素を作り始めるのです。

 

菌の防御態勢「芽胞」

そして、ボツリヌス菌は「芽胞」という、サナギのような冬眠した状態で暮らしています。

 

この芽胞という状態になれる菌は、とても防御力が高くなります。高熱、乾燥にもぐっと強くなるのです。

 

 

そして、この芽胞という防御状態を解くのが、赤ちゃんの腸内のような住みやすい場所で、そこで復活!!したのち、せっせと毒素を作り始めるのです。

 

そのため、潜伏期間(体内に取り込んで症状が現れるまでの期間)が、3日から30日までとなるわけです。

 

怖いですね・・

 

このボツリヌス菌の芽胞は、120℃4分間で死滅します。100℃であれば6時間。

 

強いですね・・

 

参考:厚生労働省「真空パック詰食品(容器包装詰低酸素性食品)のボツリヌス食中毒対策」

 

 

赤ちゃん(乳児)に特有である理由

赤ちゃんは、まだ消化能力や腸内の菌の環境(腸内フローラといいます)が完全に整っていないため、ボツリヌス菌の定着と発芽(芽胞状態からの復活)、増殖がおこりやすいために、乳児特有であるとされています。

 

1歳以上であれば本当に大丈夫なのか?

1986年の厚生労働省の発表では、それまでに確認された全世界の症例約650の内訳をみても、遅くて8ヶ月齢までであるため、少なくとも1歳以上になるまでは、赤ちゃんにはちみつを与えないように、とされています。

 

一応当時の資料です。

 

あくまで統計的に、腸内フローラが整うのがそれくらいというわけですね。

 

妻とも話したのですが、「統計的に」大丈夫、というのは客観的には理解できても、自分の赤ちゃんに、はいそうですかと適用するのはなんとなく怖いですよね・・

 

うちでは(1歳1ヶ月)もう少し余裕をみたいと思います・・

 

はちみつだけじゃない!ボツリヌス菌に注意すべき食品

ボツリヌスは土にいる菌なので、はちみつを集める過程でミツバチが一緒に集めてきてしまうわけですね。

 

同じ理由から、黒糖なども土から菌に汚染される可能性があり、避けたほうが無難とのこと。

 

特に注意したいのが、瓶詰めやレトルトなどの密閉食品

 

120℃4分以上の殺菌が表示されていないものは、避けたほうが無難でしょうね。

 

まぁ、あえて離乳食に利用することもないとは思いますが・・

 

食べ物ではありませんが、「鉢植えなどは赤ちゃんが口に入れないようにする」というのも、土を食べないようにするためです!

 

まとめ

本記事の内容をまとめます。

 

・ボツリヌス毒素は、自然界に存在する最強の神経毒

・ボツリヌス菌は芽胞(ガード状態)で土の中に住んでいる

・赤ちゃんの腸内フローラ(菌の環境)は未発達なので、ボツリヌス菌が住み着きやすい

・一歳以上の子であれば、統計的にまず大丈夫と国が発表している

・はちみつだけでなく、黒糖やレトルト、瓶詰め食品に注意!

 

ほぼ常識ではあると思いますが、はちみつは赤ちゃんには厳禁であるということを、知らない方も中にはいる・・・ということですね。

 

情報発信者として、微力ながら伝達に力添えしたいと思います。

 

以上、はちみつ由来の乳児ボツリヌス症について、でした。

 

知っておくだけで・・という情報はこちらもどうぞ

赤ちゃんの突然の発熱、おう吐。緊急時の対応に迷ったら、まずは「小児救急でんわ相談」を。

知っておくだけで・・・父子手帳にはそんな情報が一杯。

父子手帳について

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Comment

  1. イガイガ より:

    こんにちは!今回は、ボツリヌスについての詳細な記事ありがとうございます(>_<)
    大変勉強になりました。

    はちみつが危険というのは知っていても、なぜそれがだめなのか、というところまで知っていないと、まあいっか、とあげてしまうこともあるだろうし、今回の記事ははちみつの危険性をより理解するのに本当に役に立ちました。

    痛ましいニュースでしたよね。うちの息子も生後6ヶ月なので、余計心が痛みました。
    こういう事故は本当に減ってほしいですね…。

  2. イガイガ より:

    連投すみません(^^;
    質問なのですが。

    ボツリヌス菌は土の中にありふれているということですが、そうすると、自家製の野菜とかにもボツリヌス菌がついている可能性があるってことになりますよね?

    当然、生野菜はあげてはいませんが、ボツリヌス菌の生命力の強さを聞くと、万が一野菜についていたときに自分の調理法でちゃんと殺菌できているか不安です…。

    • himaguri より:

      イガイガさん、コメント&ご質問ありがとうございます。

      確かに、土の中にいるということは、ご指摘の通り野菜にも、もっと言うなら畜産物や海産物などにもいるじゃないか!ということになりますね。

      私もこの点は盲点でした。追加で調べたところ、厚生労働省が公開している学術的資料がありましたので、リンクしておきます。
      ボツリヌス症ー厚生労働省
      以下の回答は、この資料をメインに要約・抜粋したものとなっていますので、より突っ込んだ情報がお知りになりたければ、ちょっと文字数が多くて大変ですが読んでみて下さいね。

      ボツリヌス菌は土の中にありふれているということですが、そうすると、自家製の野菜とかにもボツリヌス菌がついている可能性があるってことになりますよね?

      可能性の話をすると、ゼロではないでしょう。実際に96年の症例では自家製野菜スープが、06年の症例では井戸水が、それぞれ原因として推定されています。
      ただ、近年ははちみつ以外の感染経路(どこからなのか不明)の場合がほとんどで、原因が特定できていないケースが多いようです。

      当然、生野菜はあげてはいませんが、ボツリヌス菌の生命力の強さを聞くと、万が一野菜についていたときに自分の調理法でちゃんと殺菌できているか不安です…。

      ご不安な気持ち、お察しします。家庭での調理環境では、芽胞状態のボツリヌス菌を完全に殺菌することは難しいでしょうね・・
      症例数から行くと、全国で年間1件で横ばいなので、感染リスクは出生者数からみた全体の100万分の1=0.0001%です。ゼロではありません。
      野菜は大丈夫です!というと嘘になってしまいますし、野菜スープなんかは容疑者になっていますからね(汗)

      ここから先は妻と議論しての推測になるのですが、野菜類などは水洗いや皮むき、加熱などの下処理を行うのに対して、はちみつはほとんど人工的な手を加えない、「自然な」食品です。加熱処理も行われません。
      このあたりの環境の差が、菌の生存数(初発菌数「しょはつきんすう」といいます)の違いとなり、はちみつは赤ちゃんにとって特異的に注意しなくてはならない食品になっているのだと思います。

      生後1年未満の赤ちゃんの腸内フローラの未発達さ(こちらも可能性が高い、というレベルでしか解明されていません)と初発菌数の、可能性の世界でいう「かけ算」で、実際の感染リスクになります。
      この感染リスクを抑える方法が、「赤ちゃんの腸内フローラを整える」のと、「はちみつなどの特異的に初発菌数の大きな食品を避ける」という二つになると思います。

      きちんと回答できているか微妙ですが、「野菜をあげても統計的にほぼ問題はない」ということになるでしょうか。
      記事中で「統計と言われても・・」と言及していますし、イガイガさんの気持ちもわかりますけどね。

      違った方面からの防衛アプローチとして、「乳児ボツリヌス症の症状を覚えておく」という手もあります。
      腸管からの神経毒吸収による便秘、筋力低下および泣き声が弱くなる」というところですね。
      乳児ボツリヌス症は突然死してしまう類の病気ではないので、早期に症状を発見できれば医療機関で助けてもらえます。
      そういう意味では、記事中で過度に危険性を煽り過ぎとも言えるかなと、反省しております・・・

      • イガイガ より:

        早速の質問に対する回答、ありがとうございます。

        自分でも生野菜とボツリヌス菌について調べてみたんですが、厚生労働相の学術記事までは調べ切れなかったので、himaguriさんが要約と抜粋をしてこの質問に回答してくださり、非常に助かりました。
        助かりましたというと、himaguriさんの回答で私はかなり安心しました。確率がそこまで低いようであれば、かかってしまった時はしょうがない、かかった時のことを考えて行動する、というふうにバッサリとこの問題に対する次のステップを考えて対応できます。実際、私なりにもボツリヌス症の症状について調べて、こういう時はこうしよう、と対策をある程度固められたところです。
        himaguriさんの記事が特別不安を煽っているのではないと思います。現実を知れば時に安心したり、時に不安になったりはあるでしょう。子どもが生後6ヶ月になって、衛生面とかで若干気が抜けてきていた私には、今回の不安は自分の衛生面に対する考え方や行動を見直させる警笛であり、必要なものでした。
        良い知識ときっかけをくださり、また質問にも真摯に対応してくださり、本当にありがとうございます。
        これからも、himaguriさんが記事をアップされるのを楽しみにしています!^^
        長くなりましたが、回答に対するお礼の返信とさせていただきますm(_ _)m

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