子育てを楽しく、喜ばしいものへ。『保育士おとーちゃんの「叱らなくていい子育て」』

himaguriです。
このたび、『保育士おとーちゃんの「叱らなくていい子育て」』という本を読みました。
最近、「自分一人でゆっくりと本の世界に没頭する」ということが中々できていなかったのですが、スキマ時間をみつけて、ようやく読みきることができました。
これが、ほんとうにお勧めしたいと思える内容だったので、シェアさせて頂きたくて記事を書きました。
特に、あなたが「いま、子育てのどこかで苦しさを感じている」とすれば、是非とも読んでみて頂きたい。
最近、イヤイヤ期まっさかりの我らが娘(1歳7ヶ月)。
そのすさまじさには、夫婦してヤラレてしまう時もあります。
そういう時に、この本に書いてあったことを思い起こすと、スッと気持ちが楽になることがあります。
本の中でピックアップしている問題は、例えば、片付けをしてくれない、言っても聞いてくれない、他の子のおもちゃを取ってしまう・・などです。
子どもと親との関わり方、あとは社会性などについての、比較的高度な内容が書かれているので、対象としては、だいたい1歳児以降の子育てになるのかなと思います。
ですが、それまでになっていなくとも、早めに一度読んでおかれることを私はおすすめします。
考え方の違いが、行動の違いとなり、それが積み重なっていくことで大きな差となるからです。
この本のレビューには、「もっと早くに読んでおけばよかった」という声が多く寄せられています。
さて、それでは私目線でのレビューをしていきます。
この本の魅力を最大限にお伝えできるよう、記事を書いていきたいと思います。
それではいきますね。
パパっと読むための目次
保育士おとーちゃんってどちら様?
まず、「保育士おとーちゃんって誰ですか?」というあなたに、簡単にご紹介します。
「保育士おとーちゃんの子育て日記」というブログの管理人をされています。
http://hoikushipapa.blog112.fc2.com/
私がパパブログを始めたことで、同じ「パパの立場」から育児をされている方のブログを読む機会がすごく多くなったのですが、上のブログは私が特に、ものすごく参考にしているブログの一つです。
簡単な略歴が本のプロフィールに載っていましたので、以下に引用します。
須賀義一(子育ておとーちゃん)
1974年生まれ。子育てアドバイザー。東京都江戸川区の下町に生まれ。大学で哲学を専攻するも人間に関わる仕事を目指して、卒業後国家試験にて保育士資格を取得。その後、都内の公立保育園にて10年間勤務。子どもの誕生を機に退職し、子育てアドバイザーとして、子育てについての研究を重ね、執筆、講演活動、ワークショップを展開。
引用元:保育士おとーちゃんの「叱らなくていい子育て」より
当時、現在よりもさらに珍しかった男性保育士として、保育園の現場に10年間勤務し、2009年にブログを開設。
懇切丁寧な記事、ブログ上での子育て相談(現在は数が多すぎて対応しきれない、とのことで停止されています)が評判となり、現在は講演や著作活動をされています。
以前ほど頻繁な更新が無くなった現在でも、毎日のようにコメントが寄せられています。
私は須賀さんの文章に、ものすごく魅力を感じます。
柔らかな物腰と深い落ち着きを感じる、温かみにあふれた文章です。人気が出るのも「そりゃそうだろうなあ」と思います。
様々なテーマを取り扱っており、過去記事を検索するだけでも、それはもう膨大な議論が交わされていて圧倒されます。まずは気になるキーワードでブログ内検索をしてみると良いかと思います。
ただ、それだけ厚みのあるブログですので、全部は読んでいられない、「美味しいところだけを読みたい」というあなたにとっては、この本は非常に良い選択肢になるかと思います。
特に子育て中であれば、まとまった時間はとりにくいですからね・・
保育士おとーちゃんの提唱する「叱らなくていい子育て」とは?
さて、本のタイトルにもある「叱らなくていい子育て」とは。
親になることで、自分の子どもとどう向き合っていくか、誰もが一度は悩みます。
絶対的な正しい「答え」はありません。
学校の授業のように、教えてくれる場所も先生も用意されていません。
そのため殆どの人は、自分がされたように、また周囲がしてきているように、(或いは、周りにどう見られているかを強く意識して)「しっかりした親にならなくては」「子どもを厳しくしつけなくては」という、ある種の自分へのプレッシャーをも、無意識のうちに背負うことになります。
そして、その理想と現実の差によって、大きなストレスを受けることになります。
当然です。私だってそうでした。
自分の理想が本当に正しいのか?
何故、現実はこうも理想と違っているのか?
どうしてうまくいかないのか?
そんな思いから、子どもやパートナーに、つらくあたってしまうこともあるかもしれません。
あれこれ試行錯誤した結果、あなたの子育てはいつのまにか「楽しい・あたたかい」から、遠く離れたところに来てしまってはいないでしょうか。
「より良い方向に進みたい」という、前向きな気持ちがあるにも関わらず、です。
須賀さんは、こういった状況におちいってしまう親子のなんと多いことかを、自身の経験で語られています。
そんな、「つらい、苦しい」子育てを、「楽しい、喜ばしい」子育てへ・・・
変えていける可能性があるのが、「叱らなくていい」子育てです。
子育てを楽しく、というのは私のポリシーでもありますので、本で最初に謳われている「楽しく、喜ばしい『本来の』子育ての姿を目指す」というフレーズは、非常に心に刺さるものがありました。
子どもとのかかわり方。「受容」による心の育ち方。その原理がわかる
子どもの個性は千差万別です。
心の成り立ちも、その子をとりまく人や環境により、ただ一つのものとなっていきます。
そのため、単に「ある問題、現象」に対しての解決方法は対症療法でしかなく、その子にとって最適な解決方法であるとは限りません。
それよりも、もっと根っこの部分である「子どもの心の状態」ひいては、「普段の子どもとの関わり方」を見直していくべきなのです。
キーワードは「受容」。つまり、受け容れられていること、です。
受容が自己肯定感になり、自信になり、安定した心の成長の地盤になるのです。
自己肯定感については、以下の「語りかけ育児」についてでも、少しだけ触れています。
これは単に子育てに、子どもに限定されることではなく、親にもそのまま当てはまりますし、もっと言えば、すべての人間にだって適用されるものだと私は思います。この本の中でも、「親の自己肯定感」について触れられています。
それだけ普遍的なものですので、現在の自分の状態と照らし合わせるだけでも、多くの気づきを得ることができます。
・・・とはいっても、ここまではすこし抽象的な内容になりますので、ピンとこないこともあるかもしれません。
超具体的。ケーススタディによって「受容」のイメージがつきやすくなる
そこで、須賀さんの現役保育士時代の経験をもとに、すごく具体的なケース紹介と、そのケースに合わせた対処の実例を示してくれるので、より想像がつきやすくなります。
ここは素晴らしいポイントですね。
ただ単なる精神論で終わってしまいかねない、フワッとした話と合わせて、それをどのように応用すればいいのかも、このケーススタディでスムーズにわかるように構成されています。
ただし、あくまで参考程度です。「受容」の考え方をどのように自分にインストールして活用するかを、理解しやすくするための補助的な内容です。
「へー、そんなケースがあるんだ。それで、何故そうなったのかは、こんな行動をしてたから・・こういう風に考えればいいのか。」というくらいの、軽い気持ちで読むと役立てやすいと思います。
子育てをする「親」自身にも、保育士おとーちゃんなりの分類がある
具体的な例で興味深かったのが、『親は「強い大人」と「弱い大人」の2つに大別される』という部分です。
これは「強弱」によって優劣があるわけではなく、どちらかというと性格や個性に近いもので、それぞれにおちいりやすい状態があります。
保育士として、1,000組以上の親子の姿を見てきた須賀さんだからこそ、よく見えた傾向だと思います。
自分はどちらに属するのか、パートナーは、おじいちゃんやおばあちゃん、保育士さんは・・・など自分の身の回りの人のことを考えてみると、納得する部分も多いです。
これらすべてが、じんわりと心に響くような文章で丁寧に書かれています
いくつかピックアップしましたが、もう何をおいても私が伝えたいのは須賀さんの文章です。
こちらは読んでいる(話を聞いている)だけなのに、深く相談に乗ってもらったかのような、不思議な満足感があるのです。
本のレビューを読んでいくと、「引き込まれるような文章でスラスラと読めた」「自然に涙が出た」などの声がある通り、とても安心するような文章です。
そんな魅力ある文章が、全編にわたって収録されていますので、読むだけでも癒し効果を得られると思います。
是非、まずは試し読みやブログで読んで頂き、あなたにも体感して欲しいと思います。
まとめ。「もっと早く出会いたかった」素直にそう思える良著です
まとめです。
・子育ての理想と現実のギャップに苦しんでいる
・「しつけ」について考え始めた
・子どもの問題行動も、怒ることでしか対処できない自分も嫌になる
もしあなたが、上のいずれかの状況にあるならば読んで下さい。
レビューにも「もっと早く読みたかった」という声がある通り、間違いなくおすすめできる良著です。
本の良いところは、携帯よりもさらに時と場所を選ばないし、ブログよりも章立てしてきちんとまとめられている分、迷いや寄り道が発生しないので、隙間時間を有効に使えるというところです。
もちろん電子書籍でも、コンテンツの質は変わりませんので、少しずつでも読み進めて行って欲しいです。それだけ噛みごたえのある内容だと思います。
以上、「子育ておとーちゃんの『叱らなくていい子育て』」レビューでした。