純粋なるストーリーの力!絵本レビュー「どろぼうがっこう」。「からすのパンやさん」で有名な、かこさとし作。
himaguriです。
絵本レビュー、本日は「どろぼう がっこう」です。
ちょっと怪しげな響きを持ったこのタイトル。かくいう私も、そのタイトルと表紙に強烈に引き寄せられて、つい手にとってしまった一人です。
「からすのパンやさん」や「だるまちゃんとてんぐちゃん」であまりにも有名な、かこさとしさんの絵本ですね。
ファンシーでどこか懐かしい気持ちになる絵柄と、テンポがよく、時折ジェットコースターのような急展開を見せるストーリーラインが特徴です。
「どろぼう がっこう」は、そのストーリーの面白さを、親子でたっぷりと堪能できる一冊となっています。
絵本の魅力はもとより、あとがきから見た非常に興味深い裏話と、かこさとしさんご自身についても、かんたんにお伝えすることができるよう、頑張って記事を書きたいと思います。
それでは参ります!
パパっと読むための目次
どこかの山の奥の奥。そこには泥棒を養成する学校があった
あらすじ
そこはどこかの山の奥。人目をはばかるように、一つの学校がありました。
それもそのはず、そこは泥棒を育成する学校だったのです。
その学校では、先生も泥棒なら、生徒もやっぱり、泥棒なのです!
さて、そんな学校では何を宿題にするのでしょうか?
遠足は、どこに行くのでしょうか??
さぁ、学校の様子を、のぞいて見ましょう・・・
あらすじは、こんな感じです。
どこかで見たようなキャラクターたち
登場するキャラクターたちは、泥棒というだけあり、みんな悪そうな出で立ち。
揃いも揃って、みんなどこかで見たことのあるようなファッション&面構えで、典型的な「泥棒群像」です。
先生のモデルは見るからに「石川五右衛門」ですね。
そんな彼らが、お行儀よく並べられた机に座り、黒板を背に講義しているのですから、なんともシュールな楽しさがあります。
次々に出された課題に答える生徒たち。しかし、その結果はどうも出来が悪くて・・?
一つ一つのやりとりが面白く、読んでいると自然に笑いが込み上げてきます。
先生の藪睨みの目も、悪そうなのに、なんだか憎めない感じで、とても好きです。
この楽しさ、共有できたらいいですねー。
最後の大オチも、緊張の解放とともに、大爆笑間違いなしですし、途中で「あれ?これって・・・」と、勘のいい子ならわかるくらいの、ちょうどいい難易度設定です。
多人数を前に読んでも、盛り上がること間違いなしなんじゃないかな?
「あとがき」で感じた、かこさとしさんの子供から学ぶ姿勢
さてここから、スーパー絶賛タイムです。
この「どろぼうがっこう」製作時は、ちょうどかこさとしさんが学位論文で忙しい時期だったこともあり、あまり絵を綺麗に整えたりする時間がなかったそうです。
それでも、このお話を披露するたびに、子供達は大爆笑。
「もっと!」「もっと!」と、繰り返しせがまれたそうですよ。
その時の様子が、あとがきにはこう書かれています。
何度となく、そのアンコールに応えながら、わたしはかれらが表面上のきらびやかなケバケバしさや豪華さに惹かれるのではなく、盛り込まれた内容の高いおもしろさを求めているのだということを、子供たちに教えられたのです。
引用元:かこさとし「どろぼうがっこう」あとがきより
今でこそ、絵本は綺麗に整えられていますが、最初期は絵も論文の端に書かれた、白黒の水墨画みたいなものだったそうです・・・見てみたいなぁ。
子供たちも、この絵本の魅力は、そのストーリーの純粋な面白さが放つものであると、わかっていたのですね。
確かに、興味を掻き立てる設定と、ユニークな登場人物、要所要所で笑いを取り入れながら、徐々に盛り上がって行くストーリー展開、ラストの気持ちのいい「オチ方」には、大人でもつい、続きが気になってしまう楽しさがあります。
想像するだけで、この絵本の話を聞いた子供達の、キラキラした表情が目に浮かぶようです。
また、かこさとしさんの「彼らに教えられた」という、その姿勢も素晴らしいですね。
この辺りの対談を収録した記事が、こちらのサイト様で読めます。
「からすのパンやさん」についての対談もありますよ!
かこさとしさんの人生
そんなかこさとしさんですが、つい昨月、2018年の5月2日にご逝去されました。
その生涯の中で、600作品あまりの絵本を世に出されたそうです。ものすごい数・・・!
亡くなられる直前(御歳92歳!)まで、絵本を世に出し続けていたそうです。
しかも、工学博士をしながらの執筆ということで、そのバイタリティと尽きない情熱は、私たちを勇気付け、様々なことを教えてくれると思います。
まさに老いない心をお持ちだったのでしょうね。
絵本作家さんの場合、自分の作った作品が、時間や空間を超えて、たくさんの親子に楽しんでもらえる、というのがまた素晴らしいですね。
ご冥福を心よりお祈りしたいと思います。
もしご興味があれば、こちらのかこさとしさんの公式HPにて、かなり詳しく知ることができます。
まとめ。どろぼう達に2歳児は・・・?
かこさとしさんの「どろぼう がっこう」についてまとめました。
実はこの絵本、2歳のティ子にはぜんぜんウケがよくなかったのですが、私がすっかり気に入ってしまったので、その魅力を語らせていただきました(おい)。
どろぼう達はちょーっとコワイ風貌(私からすれば、かわいいんですが)ですので、ティ子さんにはまだ少し早かった模様です。
うちの娘の反応という意味では今ひとつなものの、たまにはこんな目線からご紹介してみてもいいかと。
でも、いずれはこの「どろぼう がっこう」を一緒に読んで、笑いたいですねぇ。
「からすのパンやさん」は、可愛いカラスが登場しますし、たくさんのパンが出てくるので、より小さい子でも楽しめると思います。
かこさとしさんをご存知ない方は、ぜひ。
以上、かこさとし「どろぼう がっこう」についてのレビューでした。
Comment
こんにちは。お邪魔します、イガイガです。
いつも面白い記事や絵本のレビューをありがとうございます(^^)
かこさとしさん!!
「からすのパンやさん」「からすのおかしやさん」の2作が我が家にもあります。
たまに息子が持ってくるので読み聞かせるんですが、私も、たぶん息子も、かこさとしさんの絵や文章、ストーリーがとても好きです(^_^)
なんか、ユーモアと、温かみというか優しさが、あるように感じるんですよね。
「どろぼう がっこう」面白そうですね!
手に取る機会があれば、読んでみたいですね。
そして、かこさとしさんについて、最近亡くなられたことくらいしか知りませんでしたが、貼られているリンクから、かこさとしさんのHPに飛んで、いろいろ学ばせてもらいました。
うまく言えませんが、とにかく、本当にとても優しい方でいらしたんですね。
我が家にある「からすのパンやさん」「からすのおかしやさん」をもっと好きになれそうです。
この記事で、かこさとしさんについて知るとてもいい機会をいただきました。
ありがとうございます(^^)
またお邪魔させてください。
イガイガさん
いつもご来訪くださり、ありがとうございます^^
記事にも書きましたが、「からすのパンやさん」は、うちのティ子さんもお気に入りです。
鳥系の生き物はどうも好みのようです。
イガイガさんのおっしゃる通り、優しい雰囲気を持った素敵な絵本ですよね。
どろぼうがっこうのお話も、ぜひ読んで見てくださいね。
私も、かこさとしさんについては、この記事を書くときに色々調べて、
たくさんの発見をしました。こんな出会いがあるから、底知れぬ絵本の世界を覗き込んで、
楽しく感じるとともに、おののく毎日です・・
この気持ちが共有できたようで、嬉しいです^^
またいらして下さいね。