あおむしさん命の1歳半の娘とエリック・カール展(京都会場)に行ってきました

himaguriです。
この度、「はらぺこあおむし」で有名な絵本作家である、エリック・カールの展覧会「エリック・カール展」に行ってきました。
「はらぺこあおむし」はティ子も大好きで、生まれた時からずっと一緒なので、ファン歴はもう1年半になります。
展覧会を知ったのは、妻が娘と一緒にベビーカーで出掛けている時。
通りすがりのマダムが、ベビーカーに装備されている「あおむしさん人形」を見て、「あら、あおむしさんが好きなのね。エリック・カール展が今度京都で開かれるみたいよ」と情報を下さったのがきっかけです。
絵本、布絵本、人形やわらべうたに至るまで、うちの日常にはあおむしさんが一杯です。
「はらぺこあおむし」だけでなく、「パパ、お月様とって!」や、「1,2,3 どうぶつえんへ」などもお気に入りです。
わたしたち夫婦も、そんなエリック・カールの絵本の世界に夢中になる娘の姿を見て、自然に熱烈なファンになりました。
ティ子はまだ一歳半ですが、私達夫婦は美術館や博物館が好きなので、親子みんなで楽しめる!と考え、行くことにしました。
結果、非常に面白かったので、レポートしていきたいと思います。
※展覧会場内は写真撮影が禁止ですので、主に文章でのレポートになります。私の感じた魅力を、余すところなくお伝えできるように、頑張ります。
パパっと読むための目次
展覧会概要
公式twitterもあります。
会場は、JR京都駅伊勢丹7F「美術館『えき』」という場所です。
東京会場に続いて、2会場目ですね。
京都会場の次は岩手県、その次は福島県での開催が予定されています。
各会場での開催期間は以下の通り。
- 岩手会場:2017年10月28日(土)-12月10日(日)
- いわき会場:2018年4月14日(土)-5月27日(日) ※予定
京都会場は7/29-8/27となっています。
時間は10時~20時(最終入場19:30)です。
料金は大人1名800円(前売り券だと200円引き)。小学生未満は、無料です。
いざ展覧会へ!
当日、ティ子さんはなかなかお昼寝せず、注意力も散漫で少し不安定でした。
抱っこ紐に揺られて、ようやく寝たのは14時。
両親は遅めの昼食をとり、ゆったり準備して会場についたのは16時半でした。
しかし、ティ子さんはお昼寝から目覚めても、相変わらずアクティブな感じ。
こんなんで、静かに優雅に、絵を鑑賞できるのか・・?
私たちは少し不安でした。
エレベータを降りると、フォトボードがお出迎え
伊勢丹7Fのエレベータから降りると、さっそく撮影用のボードがお出迎えです。
『どこへいくの?ともだちにあいに!』の動物たちですね。
ちゃんとあおむしさんもいました。
『どこへいくの?ともだちにあいに!』では、エリック・カールが描いてきたオールスターが総出演するということで、既にクライマックス感があります。
動物たちがこれからエリック・カール展を見に行くかのように、ディスプレイされています。
これには、親子で早くもテンションMAXです。
人がいなかったのをいいことに、30枚近く写真を撮りまくりました(この辺しか撮れないので・・・)。
ここで既にだいぶハァハァしてしまったのですが、なんとか落ち着きを取り戻せたので次に進みました。
入場口近辺
通路には動物たちが吊られていて、だいぶファンシーな雰囲気となっていました。
こちらにも写真撮影用のボードがあったので、撮影。
「はらぺこあおむし」の究極完全体、ちょうちょさんですね。
ティ子さんもすでに満足げです。
ここまで大きいと、もはや神々しい・・
入口では、エリック・カールさんから展覧会に向けてのビデオメッセージが放映されていました。
日本という国と、絵本作家としての自分との深いかかわりについて、自ら語っていました。
私達、このとき初めてエリック・カールさんのお顔を見たのですが、かなりご高齢のおじいちゃんですね。なんでも、今年で齢88(米寿!)になられるのだとか。
でも、目は若々しかったですね。不思議なキラキラした目をされていることが、映像でもわかるくらい印象的でした。
受付のカウンターでは、あおむしさん人形がお出迎えです。うねうね。
混雑緩和のために荷物の預り所が仮設されていましたが、見たところはやはり、ベビーカーが多かったですね。
スーツケースもありましたが、子どもさんと一緒に来ている方もたくさんいたようです。
親子で楽しめる展覧会、非常に素敵ですね。
展覧会にて。エリック・カールの世界
荷物を預けてチケットを渡し、前向き抱っこひモードで入場。
こういう時、前向き抱っこのできるエルゴにしておいて良かった・・と思います。
展覧会は2部構成です。
『第1部 エリック・カールの世界』では、わたしたちがよく目にしている、絵本の原画や作品紹介などが。
『第2部 エリック・カールの物語』では、少し視点を変えて、エリック・カールその人の作家人生、人との出会い、多岐にわたる創作についてなどが見られます。
写真撮影不可とのことで、ここからは文章メインになります。
第1部 エリック・カールの世界
会場に入るとまず、色々な動物たちがお出迎えしてくれました。
牛、クマ、ふくろう、ネコ、象など、ティ子さんが知っている動物たちばかりです。
楽しそうに指差しながら喋るわが子を見て、来て良かった・・・としみじみ。
でも、あまりに興奮し過ぎて、「おりる!おりる!」と言い出してしまいました。
「静かにね!」と伝えるとともに、持ってきたあおむしさんを咥えさせると、自分で持ってガジガジし出したので、ひとまず(納得はしていなさそうでしたが)良しとします。
緻密な原画の数々
エリック・カールさんは「色の魔術師」と呼ばれており、独自のコラージュ手法で、あのカラフルな絵を描いています。
このビビッドな色彩が、妻も私もとても好きなのですが、この展覧会では、絵本のもととなる原画や、さらにその原典となるラフ画、ダミーブックなども展示されています。
コラージュの凹凸まで視認できるので、臨場感、高めです。「これが世界中の絵本の原本なんだな・・」と不思議な気持ちになります。
実際、よく見慣れた絵本の1シーンが、額に入ってお行儀よく並んでいる風景は、とても不思議でなんだか新鮮でした。
そしてこの原画、ダイナミックな迫力もありつつ、よく見ると非常に繊細です。
重なり合って交差する部分などは、そのまま上に貼り付けていくのかと思いきや、きちんと下になる方が切り取られている部分もありました。
ハリネズミの原画などは、ものすごく細かい!
こんな秘密があったとは、生の原画を見てはじめてわかりました。
ラフ画(設計図)とコラージュ(完成図)の比較
ラフ画と、それをもとに完成させたコラージュの原画がセットで比較できるコーナーなどもあり、面白かったです(結構、雰囲気がガラッと変わるんです!)。
「ゆめのゆき」という作品で、これが比較されていて面白かったです。
よく見ると、ラフ画で裸足だったおじいさんが、原画では靴を履くようになっていたりなど、人物のディテールが微妙に異なったりしていました。
作品を仕上げていく過程で、ここはイメージが違うな、こうしたほうがいいな、と修正していくのでしょうね。
エンドペーパー
そうそう、「エンドペーパー」なるものも、勉強になりましたね。
裏表紙とか、背表紙の裏に書かれている部分なのですが、そこで物語に一貫している「テーマ」や「イメージ」をアイコンや一枚絵にして、物語の「導入」や「余韻」をつくるそうです。
たしかに、「はらぺこあおむし」や、「1,2,3 どうぶつえんへ」には、このエンドペーパーがあり、上のような効果がきちんと感じられました。
上の写真はうちにある「はらぺこあおむし」のものです。「これこれ!」という感じ。
絵本は、こういったところへの気配りも含めて、トータルで完成するものなんですね。
面白いです!
気になったもの
私は、『とうさんは タツノオトシゴ』という絵本が気になりました。
タツノオトシゴは、父親もバリバリ育児する生き物だそうですね。
これはパパとして要チェックです。
それから、日本の絵本作家、いわむらかずお氏と共作で描かれたという、「どこへいくの?ともだちにあいに!」という絵本。
日本語の絵本は右から左へ、英語の絵本は左から右へと読み進めていく、という言語構成の違いを逆手にとって、ギミックとして完成させている絵本です。
面白い工夫ですよね。
純粋に2カ国のコラボ絵本ということでも気になる絵本ですので、是非読んでみたいと思いました。
第2部 エリック・カールの物語
ここからは視点が変わって、エリック・カールの絵本作家としての活動の軌跡をなぞるような展示になります。
そんな厚みのある展示ですので、弱冠、幼児向けではない内容かも知れません。
それでも、今も読まれている絵本の原画や、珍しい立体作品などもあり、他の展覧会にはない親しみやすさでしたが・・
美術統制時代のドイツにて。様々な人物との出会い、受けた影響
エリック・カールは6歳で故郷アメリカからドイツに渡り、第二次世界大戦を経験します。
当時、ドイツはナチスの台頭により、芸術すらも統制、制限される時代だったそうです。
そんな制約のある環境でも、彼の美術的な才能を早くから見出してくれる人がおり、前衛芸術とされるピカソの作品などを、こっそりと共有、鑑賞してもらっていたそうですね。
今からすると想像もつきません。
展示「くまさん くまさん なに みてるの?」の原画では、馬や熊などの原画を観ることができるのですが、たしかに素人目にも、ピカソの絵に影響を受けているのであろうことが、ありありと見て取れます。
なんというか、せまりくる感じです。かわいいんですが、ちょっと衝撃的というか。一部、不安になる感じというか。
また、「えを かく かく かく」の原画でも、鮮やかな色で描かれた、変わった動物たち(青い馬や、オレンジ色のゾウなど)を観ることができるんですが・・
これも、ドイツ時代に経験した、抑圧からの解放に着想を得たものであるとか。
そう考えると、なかなかに深いものがあります。
のちの「スイミー」の作者、レオ・レオニとの出会い
エリック・カールは23歳でニューヨークに渡り、レオ・レオニさんという方の紹介のもと、グラフィックデザイナーとしての仕事を始めます。
このレオ・レオニさんという方を、私はここで初めて知るのですが、のちに絵本作家として、あの「スイミー」などを世に出された方のようです。
思わぬ接点に驚きました。
エリック・カールと日本
妻は既に知っていたのですが、「はらぺこあおむし」の、穴があったり段違いの幅だったりといった凝った装丁は、当時アメリカでは「コストが高すぎる」と、なかなか印刷を引き受けてくれる出版社が見つからなかったそうです。
そこで、担当編集者が見つけてきたのが日本の出版社。
なんと、「はらぺこあおむし」の初版は、日本で刷られたものをアメリカに逆輸入して販売されたものだそうです。
エリック・カール展でもこのことの説明がされており、日本人として、なんだか嬉しくなりました。
番外編 本展特設ショップ
エリック・カール展の出口では、本展特設ショップがあり、ここでしか買えない限定グッズがたくさん。
人がものすごかったです。
私は割と「期間限定!」とか「特典!」とか、そういう雰囲気に弱くて、つい何でもかんでも欲しくなってしまうのですが、さいわい妻がドゥドゥしてくれたので、大事には至りませんでした(でもくまさんのTシャツくらい買っても良かったですかね・・)。
購入したのは、お手玉+ミニきんちゃく袋のセットと、ポストカードを一枚。
お手玉には心得があるので、どうしても欲しかったのです。きんちゃくも可愛いし。
ティ子も大暴れして大変でしたね・・・視界に好きなものをとらえた状態の幼児を制するのは、並大抵のことではありません。
エリック・カール展をこれから見に行かれるあなたが注意すべきこと
是非、あなたにもお子さんと一緒に見に行って欲しい、というのが、実際に行ってみての私の感想なのですが、その上で注意すべき、と感じたこともありますので、以下に書いておきます。
小さい子と行く場合は、抱っこ紐と音の出ないおもちゃを持っていくと吉
言わずもがなですが、展覧会ですのでお子さんに静かにしていてもらうのは、基本的なマナーかと思います。
親子連れも沢山おられるので、他の場所と比べてもかなり寛容な雰囲気であることは間違いありません。・・・が、そこに手放しで甘えてしまうのは、親としていかがなものかと思います。
ひとつ工夫をしていくことで、他の方と共存して気持ちよく鑑賞ができます。
私たちは、抱っこ紐と歯固めさん(あおむしさんの一部)を持っていったので、かなり役立ちました。
あおむしさんシリーズのおもちゃを持ち込む場合も一工夫あると吉
私達の鑑賞中に、スタッフの方が一言、声を掛けて下さいました。
ティ子の持っていたあおむしさん人形が、特設ショップの商品と似通っているため注意してほしい、とのこと。
たしかに、よくよく見れば違うものの、遠くから見たらお店の商品を持ち出しているように見えてしまうこともある・・・かもしれません。
ショップの近辺ではしまっておくか、遠目で混同しないようなものを持っていったほうが、いらぬ誤解を与えなくて済みます。
進言してくれたスタッフの方には感謝しています。まったく思いもよりませんでしたが、たしかに一理あります。
その場で、伊勢丹の袋を持って来て頂けたので、有難かったですね。
前売り券だと200円お得。セットは売り切れにご注意
事前にチケットぴあなどで購入すると、一律200円割引となります。
また、濃いファン向けに、前売り券限定のセット券(京都会場では、本展公式図録とナマケモノのトートバッグ付き)もあります。
トートバッグは非売品とのこと。
しかしこちらのセットは、私がチケットを購入した時(7月下旬頃)には、もう既に売り切れでした。
今後、また限定のグッズが同時販売されるかもしれませんので、欲しい場合はよくチェックしておかれると良いでしょう。
まとめ:エリックカール好きなら必見です
あなたや、あなたのお子さんがもし、エリック・カールの絵本の世界が好きなら、絶対に行って損はないイベントです。
これまで知らなかった発見があることでしょう。
また、既に触れている絵本やおもちゃなども、また違った味わいになることうけあいです。
ティ子も相当楽しかったようで、翌日になっても「あおむしさん、いたねー」などと興奮冷めやらぬ様子でした。
最後に一つ。展覧会ではひとつひとつの展示に集中して観るので、予想以上に体力を消耗します(私たちもくたくたになりました)。
無理をしないよう、前後で休憩を入れることをおすすめします。
以上、エリック・カール展について、でした。
鑑賞に最適!前向き抱っこのできるエルゴ。