長い洞窟を抜けると、楽園であった。2歳娘と橿原市昆虫館で圧巻の放蝶温室を見てきました
himaguriです。
梅雨はまだ開けていない京都ですが、最近はとみに暑くなってきましたね。
まだ6月末だというのに、また日が完全に照っていないというのに、ものすごい猛暑。
今から7月、8月が怖くてたまりません。。
でも、怖いモノばかりではありません。夏といえば、夏休みです。
30歳を越えたいまでも、この季節が近づくと何やら遊びたい気持ちが・・・
やっぱり夏休みの後遺症かな?なんて妻と話したりしている、今日この頃です。
さて、今回行ってきた橿原市昆虫館は、夏休みのお出かけにも最適な、冒険心くすぐりまくりのスポットです。
身近な虫から、地球の反対側アマゾンのレア昆虫まで、てんこ盛りです。
ハイライトともいえる温室では、色とりどりの蝶が、これでもかと言わんばかりに飛びまくる、桃源郷のような景色を目にすることができます。
更に奥には、身の毛もよだつような、相当のキワモノ展示まで・・・
虫が嫌いな方以外は、非常に楽しめるのではないかな?と思います。
もちろん、2歳のティ子さんも、たいそうお楽しみでした。
ここは、学芸員さん(博物館学芸員といって、特別な資格があるんです)が特に頑張っていると評判の博物館でもあり、そういった目線でも注目したいところ。
では、レビューしていきたいと思います。目指せベストレビュー!
パパっと読むための目次
橿原市昆虫館概要
市がやっているだけあり、なかなかシンプルなページ・・・だがそれがいい。
アクセス
場所は奈良県、橿原市。
車がないと、ちょっと辛い立地ですね。
逆に車があれば、ほかにも牧場「みるく工房飛鳥」や橿原市立こども科学館など、近くでハシゴできるコースが開けます。
バスもありますが、本数は1時間に1本程度です。うーむ。
営業時間、休館日
営業時間は以下の通りです。
4~9月・・・9:30~17:00
10~3月・・・9:30~16:30
入館時間は、閉館の30分前までです。30分ではとても見きれませんが・・・
毎週月曜日(祝日の場合は翌日)と年末年始は、お休みです。
そして夏休み中は月曜も開館。ウェルカム体勢です。
料金
料金はこんな感じです。
大人・・・510円
学生・・・410円
子ども・・・100円
学生は大学生や高校生。
子どもには4歳~中学生まで含まれます。
2歳のティ子は例によって無料。あぁ、このゴールデンエイジ感。ありがてえ。
奈良県、橿原市。懐かしいような景色と、懐かしいような人々。
奈良市から車を走らせること約30分。
景色は田舎感があり、どこか懐かしい感じがしました。
あとで知ったのですが、近場のこんもりした山は天香具山ですね。
春すぎて 夏来にけらし 白妙の
衣ほすてふ 天香具山
持統天皇もこう詠んでいる山です。
いつのまにか来た夏を、山に干されて翻る、洗濯したての白い服を見てしみじみと歌い上げた、爽やかな句だそうで。
こういった話を、歴史の勉強中の子にさらりとしてあげられるような、そんな教養ある大人になりたいものです。
そして、昆虫館は坂の上にあるのですが、距離感を見誤り、手前の体育館に間違えて入ってしまいました・・・
入り口にカタツムリがいっぱいいて、妻とティ子と「さすが昆虫館だ!すごい!」なんてはしゃいでたら、出てきたスポーティなマダム達に、「ここは昆虫館じゃなくて、ジムだよ!」と笑われてしまいました。
マダム達は、自転車で井戸端会議するかのように、複数の車の運転席どうしを器用~に突き合わせて、お昼ごはんについて元気に話し合っていました。
完璧なる車体制御と、ハイスピードな会話の応酬という二つの作業を同時にこなす、その姿はさながら熟練のトラックの運送屋です。
むむ、この距離感この田舎感、非常に覚えがあります・・そういえば実家もこんな感じだったなぁ・・
昆虫館に到着
気を取り直してもう一度車に乗り、少し山を登ると、すりばち状の屋根に、大きなトンボのモニュメントが目印の、昆虫記念館が見えてきます。
でかいカブトムシもひっついてる!
うわぁ・・・やっぱりここ、子供の頃に来たかったですねー!
もう外観だけで、少年ゴコロがくすぐられます!
そして周りの環境も、夜になればホタルも飛びそうな、いかにもな雰囲気。
さすがは昆虫館と冠しているだけのことはあります・・・(誰なんだ)
館内に入ると、平日のお昼時だったためか、静かな雰囲気。
ティ子さんは入り口の虫かごのオサムシ(なんていうか、カミキリムシみたいな歩行昆虫です!)や、マイマイカブリで早くもテンションゲージMAXに。
最近、公園にいるてんとう虫やトンボ、蜘蛛に興味津々のティ子。
昆虫館は当たる!と直感した父のカンは正しかったようです。
私は目論見が当たって、ひとりほくそ笑むのでした・・・
入り口のトイレは、ちゃんとおむつ替えのできる設備になっていて、助かります。
用も足して、いざ内部に侵入です。
展示室へ
入り口は洞窟に入っていくようで、ワクワクしますね。
表示がプロジェクションマッピング!文字が虫になって、逃げ出していきます。
そして、生物進化をイメージした、タイムトンネルをくぐって進んでいきます。
4億年前から現在まで・・・スケールがでかい。でかすぎる。
三葉虫の化石とかありました。くっきりしっかり残っています。凄い。
で、正面は昆虫大爆発という展示で、標本や音響なども相まって大迫力。
圧倒的な数、そして頭上から虫の声と羽音が聞こえてきます。驚いて見上げると、ビッグスケールのスズメバチ。あな恐ろしや。
でも、楽しい・・!
地球上の生物は、実に72%が昆虫なんだそうです。ほげー。そんなに多いんですな。
標本展示室
そして、横長の部屋には、学術的な資料がどっさりと。
すごい量です。全部みていくと大変。
でもね、楽しげな装置もいっぱいありましたよ。
手で触って、昆虫の体の仕組みが分かる展示や、
とんぼのめがねが掛けられる展示も。
▼とんぼのめがねで遊ぶ妻
あとは、
・昆虫の各部内臓器官の構造
・渡り鳥のように移動する昆虫
・虫害のおこるしくみとその対策いろいろ
・口やツノの形を見てなんの虫か当てるゲーム風展示
などなど、盛りだくさん。
面白かったのは、秋の虫たちの声の比較ですね。
キリギリス、マツムシ、スズムシなどの泣き声を、スイッチを押して、実際に聞くことができます。
特にスズムシは、ひとりでさみしい時、怒っている時、異性を誘う時で、鳴き方が違うんですよ。
ほんとにそんな感じで鳴いているから面白いです!
秋に向けて、楽しみがひとつ増えました。
生体展示室
お次は生体展示室です。
いきなりミツバチ。ガラス窓一枚の向こうに、ハチがぶんぶんいます。
巣の中の様子などを、仕込んであるカメラで覗くことができます。
ハチの展示では、蜂の巣やハチミツの実物や数多くの蜂の標本、またハチに刺されないようにする方法や、刺された際の対処法まで、色々な情報がありました。
妻は窓の向こうが外のどこに繋がっているのか気になる模様でした。
たしかに、そう考えるとちょっと怖い感じではありましたね・・
お次はジオラマです。「てのりぽっぷ」というプロジェクションマッピングを利用した、体験型の施設もあります。
これは手のひらに虫を映し出すというもの。二つの手のひらで写し、それらを合わせるとまた別の動きになったりと、なかなか凝っています。
そして水中や森の昆虫の生態展示。ヘラクレスやニジイロクワガタが見られるのですが、これが結構凄いです。
外から普通に見る分にも楽しいのですが、「ミクロ探検隊」というその設備は、小型カメラをラジコン感覚で操作し、虫に大接近することができます。
映し出される景色は、本当に自分が昆虫の世界に入り込んだかのよう。
遊び心、ありますね。
放蝶温室
もともとこれが目当てで訪れましたし、この記事でもっともお伝えしたいコンテンツがこちらです。
昆虫館の中ほどには大きな温室があり、ここに蝶がたくさん放たれています。
色とりどりの蝶が見渡す限りに飛び回っており、それまでの薄暗い室内とは真逆の明るい温室内は、まるで楽園です。
危険いっぱいの洞窟を通り抜けて、秘密の場所にたどり着いた・・・そんなドラマ感すらあります。
笑えて来ます。こんなファンタジックな景色があるのかと。
予想以上に凄かったので、これは実際に行ってみることをぜひお勧めしたいです。
ティ子さんは嬉しすぎて我を忘れていました。
もうどこを見てもいます。黒、オレンジ、白、浅葱、青紫・・・
なんならその辺の地面にまでいます。それもそのはず、その総数およそ900。
圧巻としかいいようがありません。
中は南国風で、冬に行っても良さそうです。
蚊もちょっといましたので、そこは注意ですね。
また、優雅に追いかけっこをしていますが、求婚中ですので彼らもああ見えて必死です。
見ていると、何やらおしりからドバッと黄色いボンボンみたいなのを出すことが。
妻はびっくりしていました。
調べたところ、「ヘアーペンシル」という収納機関で、オスが求愛するときに、ここからフェロモンを出すのだとか。
確かに、初めて見るとちょっとギョッとしますね!
なりふり構わない姿勢・・・やっぱり彼らにもアグレッシブなオスと、クールなオスなんかがいるんでしょうかね・・
いろいろ勉強になります。
新館の特別生体展示室へ
入り口の試練
温室を越えると、新しく建てたらしい新館で、また別の生態展示を見ることができます。
そして、これが恐怖・・・
なんと入り口の一角に、あの悪名高き家庭の害虫、「G」の展示があります。(先に書いておきますが、写真などは撮っていないし、この先に載せたりもしていませんよ!)
私も彼らはどうにも苦手なので、いま文字を打つ指が震えております。
なにもあんな通り道のど真ん中にババーンと展示しなくても・・と思ったのは、私達だけではないはず・・・
遠目に見えたので、見ないように後ろ向きでおそるおそる通過しました・・・うぅ
好きな方にはたまらない「充実ぶり」なのではないかと推察します・・・好きな方いるんだろうか・・?
特別展示
そしてそこを抜けると、カメやスッポン、金魚、魚など、一風変わった(昆虫館なのに・・?)生き物たちが見られます。
ティ子はカメが特に気に入ったようで、甲羅に入ったカメを見て、
なんて言ってました。
そしてここで、オオムラサキという蝶も個別に見ることができました。
オオムラサキとは、夜空のような紫色と白のコントラストが美しい、大き目の蝶で、日本の国蝶としても知られる種です。
実物はもっと綺麗でした。
前(下?)から見るとこんな感じ。インナーはシンプル派のようです
情報コーナーというところがあり、蝶の飼育実演などが見られたりするそうですが、お昼休憩中だったのか、留守でした・・・残念。
一本道なので、元来た道を通り(新館入り口では目をつむって)、退館しました。
ポイントや注意点など
さて、実際に来館してみてのポイントをおさらいします。
天候に左右されない
博物館系の強みですね。天気が悪くてもOK。
温室もあるので、年間を通してあの楽園に行くことが可能です(キラキラ)
展示量は多め。こまめに休憩を
ものすごい情報量です。無理をせずゆっくり、休憩しながら見て回りましょう。
館内にはこのように、良さげな椅子もあります。
▼くつろぎのティ子丸
私たちは省略しましたが、2階や屋上テラスなんかもあるようです。みっちり見ようと思ったら、多分2~3時間はかかりそう。
赤ちゃん用の心遣いが有難いです
トイレはおむつ替えもできますし、授乳室も備えているようです。
また、ベビーカーで回ることができ、貸し出し用ベビーカーも完備。
ありがたいですね。
立地条件はやや悪い
アクセス上、車が無いとやはりちょっと不便です。
施設の徒歩圏内に、食事や喫茶ができる場所はほぼありません(ホテルウエルネス一点のみ)。
食事は持っていったほうが安心かも。
ひと夏の冒険になりました
まとめです。
みどころが盛りだくさんで、大人も子どもも一緒になって楽しめる、非常に興味深い博物館でした。
「見て、聞いて、触って、感じる昆虫館」との触れ込み通り、五感をフルに刺激するその展示は、たしかに様々な工夫が凝らされていて、学芸員さんの頑張りがうかがえます。
そして、圧巻の放蝶温室。
展示の大きな流れが面白いです。
ちょっとアクセスは悪いですが、ここを見るためだけに訪れる価値は十分にあると思いますよ。
個人的には、キワモノ展示はもう少しこう、奥底のマニアックな場所に、こぢんまりとまとめて頂いて、「見ないことを選択する自由」を与えて欲しかったですが・・・(笑)
いやはや、冒険させて頂きました。
ご興味がありましたら、あなたも是非行ってみて下さいね。
以上、橿原市昆虫館の来館レポでした。